EC市場の拡大に伴い、軽貨物ドライバーの需要は年々高まっています。それに伴い、働き方も多様化し、とくに個人事業主として働く「業務委託」という選択肢が注目されています。しかし、どのように仕事を選べば良いのか、業務委託とは具体的にどのような働き方なのか、わからないことはありませんか。
この記事では、軽貨物ドライバーの求人動向から、おすすめの専門求人サイト5選、業務委託の仕組みやメリット・デメリットまでを網羅的に解説します。求人を探す際の具体的なチェックポイントも紹介するので、自身の希望に合った働き方を見つけるためのヒントにしてください。
軽貨物ドライバーの求人の動向

日本全体で宅配需要が年々増加するなか、軽貨物ドライバーの求人も拡大傾向にあります。大手ECサイトなどの影響により、個人向け小口配送の案件数が大きく伸び、売り手市場が続いています。
国土交通省の発表によると、2022年度の宅配便取扱個数は50億588万個に達し、前年度比で1.1%増加しました。 2023年度も50億733万個と、引き続き高い水準を維持。このような物流量の増加に対し、運送業界全体でドライバー不足が課題となっており、とくに小回りの利く軽貨物ドライバーの需要は高い状態です。
また、かつては運送会社に正社員として雇用されるのが一般的でしたが、近年は企業と対等な立場で契約を結ぶ「業務委託」の形態で働くドライバーが増えています。これは、企業側にとっては人件費を固定費ではなく変動費として扱えるメリットがあり、ドライバー側にとっては自分の裁量で働き方を決めやすいという利点があるためです。
出典:国土交通省「令和5年度 宅配便・メール便取扱実績について」
軽貨物ドライバー求人の探し方

軽貨物ドライバーの仕事を探す方法は、主に3つあります。それぞれに特徴があるため、自分の状況や希望に合わせて適した方法を選択することが重要です。
専門求人サイトを活用する
まず、ドライバー専門の求人サイトを利用する方法があります。求人数が多く、全国の案件を比較検討できる点がメリットです。 また、「業務委託」「未経験者歓迎」など、こだわりの条件で検索しやすいのも特徴です。
多くの人が利用するため、好条件の求人は競争率が高くなる可能性があります。また、情報量が多いため、自分に合った求人を見つけるのに時間がかかる場合もあるでしょう。
マッチングアプリ・業務委託プラットフォームを使う
近年増加しているのが、荷主とドライバーを直接つなぐマッチングサービスです。単発の仕事(スポット便)や、空いた時間を活用したい場合に適しています。スマートフォンアプリで手軽に仕事を探せたり、自分のスケジュールに合わせて仕事を選べたりする点が人気です。
ただし、継続的な案件が見つかるとは限らないため、収入が不安定になりやすい傾向があります。
運送会社に直接問い合わせる
地域の運送会社や、興味のある企業のウェブサイトを直接確認し、応募する方法です。特定の企業で働きたいという明確な希望がある場合に有効な手段といえます。また、求人サイトには掲載されていない独自の募集がある場合もあります。
ただし、常に求人があるとは限りません。こまめにチェックすることが必要です。
軽貨物ドライバーの求人サイトおすすめ5選

ここでは、軽貨物ドライバーの求人探しに役立つ専門サイトを5つ紹介します。それぞれに特徴があるため、複数のサイトの情報を比較検討することがおすすめです。
N DRIVE

N DRIVEは、全国の軽貨物求人を探せるドライバー専門求人サービスです。業務委託の案件も豊富で、個人の裁量で働きたいドライバーに適しています。サイトでは、宅配、ルート配送、スポット便など多様な業務内容から希望の仕事を探せます。
また、運営会社は運送事業も手掛けており、業界に精通した担当者による手厚いサポートや、未経験者向けの研修制度も充実しているため、安心して仕事を始められるのが魅力です。
ハコボウズ

ハコボウズは、軽貨物運送業に特化した求人マッチングサイトです。業務委託の案件も多く掲載しており、企業からの直接の募集や非公開求人に出会える可能性があります。
勤務地や宅配、チャーター便といった配送タイプなど、細かい条件で求人を絞り込めるのが特徴です。
ドライバーズワーク

ドライバーズワークは、運送・配送業界全般の求人を網羅する転職支援サイトです。軽貨物ドライバーの求人はもちろん、トラックやバス、タクシーといった多様な車種・職種の案件を扱っています。
正社員、契約社員、業務委託など、さまざまな雇用形態の求人が掲載されており、安定志向の方から自由な働き方を求める方まで、幅広いニーズに対応しています。
ドラEVER

ドラEVERは、登録ドライバー数9万人以上を誇る日本最大級のドライバー専門求人サイトです。軽貨物をはじめ、小型から大型トラックまで多様な車種の求人があり、雇用形態も正社員から業務委託まで幅広く掲載されています。
全国の求人を網羅しており、動画で職場の雰囲気や仕事内容を紹介しているのが大きな特徴です。
トラックマンJOB

トラックマンJOBは、トラックドライバーの仕事を中心に扱う運送・物流業界専門の求人サイトです。軽貨物ドライバーの求人も豊富で、宅配、ルート配送などさまざまな業務内容から検索できます。
正社員や業務委託といった雇用形態はもちろん、「未経験者OK」「ダブルワークOK」など、こだわりの条件で絞り込めるため、自分のライフスタイルに合った仕事を見つけやすいのが特徴です。
業務委託の軽貨物ドライバーとは

業務委託とは、企業に雇用されるのではなく、個人事業主として企業と対等の立場で業務の依頼を受ける契約形態です。 軽貨物ドライバーの世界では、この働き方が広く普及しています。
業務委託ならではの自由な働き方や収入の仕組み
業務委託ドライバーの最大の特徴は、働き方の自由度が高い点です。会社員のように勤務時間や休日が厳密に決められているわけではなく、自分の裁量でスケジュールを調整しやすい傾向にあります。
収入は、固定給ではなく「完全出来高制」や「日当保証制」が一般的です。
- 完全出来高制:配達した荷物1個あたりの単価が決まっており、運んだ数に応じて報酬が増える仕組みです。効率よく多くの荷物を運ぶことで、高収入を目指せます。
- 日当保証制:1日の稼働に対して、あらかじめ決められた最低保証額が支払われる仕組みです。天候や物流量に左右されず、安定した収入が見込めます。
多くの場合、車両の購入・維持費、ガソリン代、各種保険料などの経費は自己負担となります。そのため、売上から経費を差し引いた金額が、実質的な手取り収入です。
業務委託として働くメリット・デメリット
業務委託には、自由な働き方ができる一方で、自己責任が伴う側面もあります。
【メリット】
- 高収入を目指せる:自身の努力や工夫次第で、収入を増やすことが可能です。繁忙期に集中して働く、効率的なルートを組むなどの取り組みが直接収入に結びつきます。
- 自由な働き方:働く時間や休日を自分でコントロールしやすいため、プライベートとの両立を図りやすい点は大きな魅力といえます。
- 対人関係のストレスが少ない:基本的に一人で業務を行う時間が長いため、組織内の複雑な人間関係に悩まされることが少ないでしょう。
【デメリット】
- 収入が不安定になる可能性:案件数や稼働状況によって、月々の収入が変動する可能性があります。
- 経費は自己負担:車両の維持費、ガソリン代、駐車場代、保険料などはすべて自分で負担する必要があります。
- 社会的保障と事務作業:雇用保険や労災保険(特別加入制度あり)の適用がないため、病気や怪我で働けなくなった場合のリスクは自己責任です。また、年に一度、確定申告を自分で行う必要があります。
これらを理解した上で、自分に適した働き方かどうかを判断することが重要です。
軽貨物ドライバーの求人を探すときのチェックポイント・注意点

自分に合った職場を見つけるためには、求人情報を慎重に確認することが不可欠です。とくに以下の3つのポイントは、後々のトラブルを避けるためにもしっかりとチェックしましょう。
業務内容・報酬体系を確認する
まず、どのような荷物をどこへ運ぶのか、具体的な仕事内容を確認することが重要です。宅配、企業向けのルート配送、スポット配送など、業務内容は多岐にわたります。
報酬については、「1個あたりいくら」「1日あたりいくら」といった単価が税込みか税抜きかを確認しましょう。また、ロイヤリティや手数料が報酬から差し引かれる場合は、その金額や割合も事前に把握しておく必要があります。想定される1日の物流量や売上見込みを面接時に質問し、現実的な収入をシミュレーションすることが大切です。
契約形態の違いに注意する
求人には「正社員」「契約社員」「業務委託」など、さまざまな契約形態があります。
- 正社員・契約社員:会社に雇用され、給与や福利厚生が保障されます。安定性を求める方に向いています。
- 業務委託:個人事業主として働きます。自由度が高い反面、収入や保障は自己責任となります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の希望する働き方に合った契約形態を選びましょう。
保険やサポート体制の有無を確認する
業務委託で働く場合、万が一の事故に備える保険への加入は必須です。
- 自賠責保険:すべての自動車に加入が義務付けられています。
- 任意保険(黒ナンバー用):自賠責保険だけではカバーできない対人・対物賠償、自身の怪我などを補償します。自家用車用よりも保険料が高くなる傾向があります。
- 貨物保険:配送中の荷物の破損や紛失を補償する保険です。荷主によっては加入が契約の条件になっている場合もあります。
元請け企業によっては、これらの保険に団体割引で加入できる制度や、車両のリース・レンタル、業務開始前の研修制度といったサポート体制を用意している場合があります。未経験から始める場合はとくに、こうしたサポートが充実している企業を選ぶと安心してスタートできるでしょう。
軽貨物ドライバーの求人サイトで理想の働き方を実現しよう
軽貨物業界は、Eコマース市場の拡大を背景に高い需要が続いており、将来性のある仕事の一つです。働き方も多様化しており、安定した雇用を求める方から、自分の裁量で高収入を目指したい方まで、さまざまなニーズに応える選択肢が存在します。
今回紹介した求人サイトやチェックポイントを参考に、情報収集を丁寧に行うことが、理想の働き方を実現するための第一歩です。複数のサイトを比較検討し、契約内容を十分に理解した上で、自分に適した道を選びましょう。